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【不動産投資】失敗事例から学ぶ、不動産投資で知っておきたいこと

不動産を含め、投資にまつわるニュースは後を絶たないですが、「シェアハウス」のニュースは皆様の記憶の中にあると思います。日本FP協会の勉強会で、その事例を取り上げてほしいというリクエストもあり、セミナーでお話しをさせていただた内容の一部をここでもご紹介したいと思います。

何故、失敗してしまうのか

不動産投資にまつわる問題は、今回に限ったことではなく、以前から問題は後を絶ちません。私の両親の知り合いにも地主さんが多くいらっしゃり、以前より数々の不満や怒りの声は耳に入ってきていました。

「節税対策」という切り口とサブリースという切り口

誰でも空いている土地があれば、有効活用して節税対策や相続対策、そして収益につながるに越したことはありません。上手く運用ができて、目指すところは地主さんも営業をする側も、本来は一致しているはず。そして、不動産の契約は売主・買主の双方の合意の下で交わされ、その後の融資申込みや実行、引渡しまで本人の意思決定を元に進んでいきます。

問題の本質はどこにあるのか

お互いの方向性や目的が一致していても、会社としては利益を出さなくてはいけない。営業担当者は”成約”という結果を出さなくてはいけない。会社が大きくなるほど、自分のやりがい以上に会社の圧力も強くなる傾向があるといえます。また、会社が大きくなるにつれ、「分業」と担当部署が分かれていきます。

  1. 営業は営業が専門分野
  2. 契約後の担当部署が変わる
  3. 不動産投資についての知識が浅い
  4. サブリースという安心材料裏にある根拠の不確実性
  5. 予め、問題を想定した契約書内容

上記の5点が主に挙げられるのではないかと。
私はそう思っています。

5つの問題点を自分で判断するために

もし、自分で判断できるようになれば、本当にいい話しなのかどうかが分かるようになるばかりか、相手の話しの突っ込みどころは満載で楽しいと言えるかもしれません。

①営業は営業が専門分野

営業の仕事は、この場合「成約」することです。営業だけなら宅地建物取引士の資格がなくてもできますし、投資分析や投資判断の専門知識がなくてもできます。

営業担当に悪意(法律用語)がない、という前提でお話ししますが、「こう質問されたら、こう答えればいい」と手法を教わり、自分自身が疑問を感じないまま、実態を確認しないまま、知識を磨かないまま、会社の圧力や日々の忙しさに呑み込まれていく人も少なくないという実情があると思います。

だからこそ、自信をもって「家賃保証するから安心」と言えるし、入居率が高い前提で算出すれば、節税効果もあるし、相続対策にも、収入の数字も上がるのも「ごもっとも」といえます。

②契約後の担当部署は変わる

全ての会社とはいえませんが、多くの場合、実際の入居者募集や管理の仕事は、賃貸や管理の部署が行っています。だから、成約になった際の喜びや、地主さんの想いを汲んで結果につながるよう努力する、という本質から離れていってしまう。

③不動産投資についての知識が浅い

投資分析をするにはいくつかのポイントがありますが、その知識がないと、地主さんの5年後、10年後、本当に結果につながるかの根拠は算出できないと思います。その中でも重要なポイントとして「入居率」が挙げられますが、人口減少と物件供給過剰の時代、時間が経過するほど、駅から遠くて、築年数の経った物件は空室が多いことは、自分でポータルサイト等でチェックしてみれば、ある程度予測できるかと思います。だからこそ、安心保証の「家賃保証」が人気になるの当然と言えるでしょう。

④サブリースという安心材料裏にある根拠の不確実性

一括借上げしてくれるなら・・・
安定した家賃収入があるなら・・・
ローンの返済以上に家賃が入るなら・・・

安心して投資できます。だけど、相手は企業です。想定した収支が出ない状態も想定しておかなければなりません。そんな疑問の数々を、根拠なく「大丈夫です」という回答の場合は注意が必要です。

・何故、大丈夫なのか。
・何が大丈夫なのか。
・その根拠はなに?

そこが納得のいく根拠が提示できない場合、企業という性質からして、赤字保証が続けば、どこかで整理や解約になる可能性も出てくることは、何となくでも想定できると思います。

⑤予め、問題を想定した契約書内容

サブリース契約の場合、地主さんが「貸主」となり、サブリースを行う会社が「借主」という立場になります。借主保護の要素が強い『借地借家法』によれば、

  • 借主はいつでも家賃減額交渉ができる
  • 借主はいつでも解約することができる

第32条
建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。


借地借家法第32条 借賃増減請求権 Wikibooksより

つまり、
いつでも双方から家賃の増減請求はできます。
だけど、特約で「家賃の増額をしない」のは有効だけど、「家賃の減額はしない」のは無効ということです。

例えば当事者同士で合意し、契約書の特約に『一定期間の間賃料の減額はしないものとする』と記載がされたとしても、問題が発生し裁判に至れば無効とされます。

2018年3月に国土交通省が契約書を改定

こういった問題を受け、民法改正の施工にむけて国土交通省がサブリース契約書の改定を行い、サブリース契約にあたっては以下の項目が追加されました。

  • 賃料改定時期の明確化
  • サブリース業者から契約を解約できない期間の設定

参考:国土交通省のページ

不動産投資で失敗しないための判断ポイント

不動産投資はあくまでも自己責任となります。上記に挙げた点について、事前に想定しておくことが必要です。また、実際にどう判断するかは、また近いうちに書きたいと思います。

特に、この話しのきっかけとなったシェアハウスは、自分が部屋を借りる立場でみれば、選ばれない物件だな・・・と多くのかたが分かるような物件でした。

最近、他の不動産の問題がテレビで放映されていましたが、オーナーさんが「もっと入居者の立場になって建物を造ってほしい」という声がとても印象に残っています。

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