尾山台から徒歩5分のところに『シェア畑等々力』があるのをご存じですか?
”手ぶらで通えて”
”初心者でもアドバイザーさんが親切に教えてくれる”
”無農薬野菜”
野菜作りの経験がなくても、農具や資材は全て用意してあり、最低週に一度通えば大丈夫、というのに惹かれて始めました。ちょうど管理物で家庭菜園の案が出ていたこともあり「まずは試しに実践してみよう!」というのがきっかけ。料金は市民農園に比べれば高いけれど、未経験なこと、費やせる時間を考えれば、新たな習い事と思えば一石二鳥です。
初めてのチャレンジは右も左も分からないことだらけ
見学に行ったその場で申し込み、ちょうど夏野菜の種蒔き・苗植えの時期の終盤ということで、予備知識を入れることなく畝作り、マルチ張り、種蒔き・苗植えをスタートしました。
- 何故そうするのか(意味と理由)
- NGポイント
- 具体的なやりかた(コツと手本)
一つ一つ丁寧に教えてくれて大変分かりやすい。頭に疑問が浮かぶ前に”まず真似してやってみよう”と体が動きます。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ。
by 山本五十六
ついこのフレーズが頭に浮かんできました。
きっと市民農園だったら、分からないことを聞けたとしても「あぁ、それはこうやればいいんだよ」のワンフレーズで終わってしまうかもしれない。”こうやればいいって・・・何をどうすれば?”と聞いても全く分からないことってありますよね。その点シェア畑では、教えるのが上手なアドバイザーさんも多く、教科書やビデオ、紙ベースでやるべきことやコツを惜しみなく開示してくれるので、初心者でも簡単に野菜が収穫できてしまいます。
この日はミニトマトにナス、ピーマン、サンチュ、バジル、枝豆の仕込みが完了。水を好む野菜、嫌う野菜、セットで植えるとより良い”コンパニオンプランツ”と呼ばれるもの…一つ一つ教わりながら迷うことなく進んでいきます。すでに誰かが植えて下さったスナップエンドウとイチゴをお土産にいただき、採れたての新鮮野菜のみずみずしさとイチゴの甘さに感動した初日でした。
教わってみて気づいたこと
2回目以降は、いつ農園に来るかは自由。
週に数日、アドバイザーさんの来園スケジュールに合わせるのもよし、教本やビデオなどで自習しながら、自分のタイミングで行くのも良し。
しかし、どのタイミングで行って、次は何をすればいいのか・・・最初のうちはアドバイザーさんのいるタイミングに合わせるのが賢明のようです。お世話のポイント、誘引や摘果・摘心、間引きなど野菜ごとに違うからです。
実際に教わってみると、
- 教えてもらっても理解できないことも多い
- 一度で全ては理解できない
- 教える人によって言うことが全く違う
やればやるほどに疑問が増えていきます。
これって仕事と一緒だな・・・と思いつつ、思い出したことがありました。
何でも手っ取り早く答えを聞きたがる人
以前のスタッフに質問攻めの人がいて頭を悩ませたことがありました。
- どうやるんですか?
- 何故ですか?
- どうしてそうなのですか?
- どうすれば良いのですか?
分からないのは当然で質問するのもいいけれど、自分で理解できるまで質問を続け、一向に行動ができない。
一度教わっても完全に理解できないことはたくさんあります。
特に不動産の仕事は、一つとして同じ物件がなく案件ごとに全く違うため、前回はNGのものが今回は正解、ということも例えば『購入申し込み』をするにも数種類アプローチを変えるわけです(一つの書式の会社も多い)。これが理解できるのに数年から10年ほどはかかるでしょう。教わったり調べても完全には理解できないけれど、経験を重ねていくうちに点と点だったものが線になる。そんな時期が自然とやってくるのです。
例えば募集資料を作成する場合は、規制があるため、表示項目が決まっているけど、申し込み以後はお互いの事情や以降により臨機応変に対応する必要が出てくるのだけど、それをいちいち「何故ですか?」「どうしてですか?」と自分で調べもせずに質問攻めにして、まず納得できる答えを知りたい、というのは問題だなと思うと同時に、かなりのストレスを感じました。
教わる姿勢
シェア畑を借りて久々に教わる側に立ち、改めて振り返るいい機会ともなりました。
アドバイザーさんのいるタイミングに合わせて、何でも教わるのはちょっと違うなと・・・。そのため、まずは自習して自分で考え、実際に試してみて、どうしても分からないときにはアドバイザーさんのいる時間に合わせて来園することにしました。”見本区画”や他の区画の状態を見比べるのも大きなヒントになります。
失敗しても自分の糧になるから無駄ではない。失敗から多くの学びになる。教わる一方だと応用が利かなくなるし、トライアンドエラーの蓄積はオリジナル化につながる。
この姿勢が大切だと思うのは、今では古いと言われるかもしれません。
クライアントの教授の方とこの話をしたところ、今の生徒も、まず教えないとできない生徒がものすごく増えていると同じ思いをしていました。仕事は先人たちの仕事ぶりを見ながら盗むもの(吸収・発見という意味合い)。そんな時代は残念ながら消えつつあるようですが、教える側や会社側の視点でみれば、仕事を盗み(見て覚え)、自分で考えて実践できる人のほうが需要は高いことは間違いないでしょう。
黙々と作業をしていると仕事にもつながる発見もあったり、新鮮で自分が作った安心安全で新鮮な無農薬野菜が食べられるのだから喜びも大きい。土いじりは不思議と心身ともに元気がでるし、経験を重ねることで生きる力になる。実際に始めてみると”贅沢な楽しい遊び”なのでした。