分譲マンションの「管理費」「修繕積立金」について、あなたはどちらのタイプですか?
①管理費を支払っているから宜しくね、とお任せしたいタイプ
②積極的に管理組合に参加して”より良くしていきたい”タイプ
①の意識が多いほど管理会社にとっても仕事がやりやすいですよね。理由は管理会社主導で進めていけるから。大手の管理会社になるほど専門分野になるので任せて安心だと思います、一方で管理会社に対する不満も多く耳にします。
とあるマンションの話
住人意識の高いマンションがありました。
大手の分譲マンションで適切な管理体制の元、最初の大規模修繕の時期を迎えた。
大規模修繕の見積額が積立金より高く、一時負担金を要求してきました。その内容には、次回の大規模修繕に向けて修繕積立金の値上げも書かれていた。
管理費も修繕積立金も住人たちが積み上げていったお金です。
これに納得がいかなかった一部の住人が「修繕委員会」を立ち上げた。幸いなことに不動産や建築、設備に詳しい有識者の人たちがいたこともあったと思います。修繕委員会といっても、報酬は発生せず、住人一人一人の意識や価値観も違い、関心も低い中で、意見をまとめていくのは心が何度も折れかけたそう。
見積の内容を一つ一つ精査して、優先する工事、今すぐ必要でない工事をふるいにかけ、工法やコストは妥当かをチェックしていきました。大抵はパターンが決まって一律の内容なところ、「これじゃ根本的な修繕とはいえない」と工法まで調査し、よりコストダウンができて効果の高い方法を提示しました。
結果的に一時金の負担はなくなり、次の積立金も現行のままとなった。住人からは感謝の声が上がり、中にはこれで資産価値が上がったと喜ぶ声もあったそう。
資産価値を上げるには相応に形成する努力が必要
マンションの価値は、地価や市場の影響もあるけれど、マンションを選ぶ大きなポイントに、
- 手入れが行き届いたマンション
- 住んでいる人たちの意識が高い
- 快適で引っ越したがらない(あまり売りにでない)
というのがあります。
不思議と住む人たちの意識が雰囲気となって空気感を作り上げるといいますでしょうか。
専門知識が必要で難解な修繕工事ほど、分からないのでお任せということも多いと思います。だからかえって盲点になる。不必要な工事を計上したり、金額を上乗せしても誰も気づかず、何も言わなかったら・・・管理会社にとっては美味しいマンションになるのも当然ですよね。管理会社だって利益を追求する法人組織です。
- そんなことをいっても仕事が忙しくてそんな暇はない。
- 専門知識がないから分からないから無理。
- みんなの意見をまとめるのは大変
そういう人が大多数だと思いますが、小さな意識、小さな関心をもつことで少しずつ変えていくことは可能です。
トラブル発生時の対処は適切か
このマンション、ある日の朝、突然水が出なくなったそうだ。
時間は午前7時半。
家族がバタバタと支度に追われている時間帯だ。
キッチンで朝ご飯やお弁当を作っているお母さん。
洗面所で顔を洗っている子どもたち。
お父さんはトイレに水を流そうと・・・・
そんな時にまさかの水が出なくなるなんて、悲劇ですよね。
地震でもない。特に工事など事前予告もない。
慌てた住人たちが急いで管理会社に連絡してみるも、早朝なので管理会社もつながらなければ、管理人の携帯電話も連絡がとれない。
「どうした、どうした、何が起こった!」と騒ぎは瞬く間に大きくなった。
大規模修繕後も解散せずにいた建築や設備に詳しい修繕委員会が、思い当たる設備を一つ一つ確認して回った。
どうやら貯水槽のチャンバーが錆びていたようで、応急処置として手動で動かし、ひとまず解決。
ここまでの時間、約30~40分。
管理会社が対応する場合
もしここで管理人がいたとしても、知識がないまま会社に連絡したり、修理会社に依頼したとしても数時間はかかるでしょう。早くても午前中いっぱいはかかる可能性も大きい。平日の朝から突然水が止まるなんて、仕事や学校にも支障が出かねない。
しかも、消耗品の部品が原因で断水なんて、管理としては言語道断。メンテナンスの手落ちで、多くの世帯が暮らすマンションのインフラが止まってしまうのだから。後から出勤してきた管理人に多くの人が「なんのために管理費を払っているんだ!」とクレームが入ったそうだ。
そして、有事の際の管理会社がどう対応するかも重要ですよね。
「ちゃんと定期検査してます。」
「この間確認したときは、なんともなかったです。」
そんな無責任な応対をしようものなら、余計に住人たちを憤らせてしまう。その後のフォローも甘く、断水が直ったことを全世帯に知らせず、あとあとまで大きな問題となったそうだ。
住人が管理会社を監視する体制
自分たちが支払っている「管理費」と「修繕積立金」は、自分たちが所有するマンションの維持管理のために適正に充てるべき資金なのに、あまりに無関心で関与しない場合は注意が必要です。
管理会社でさえ、専門知識を要する工事は各業者に依頼してお任せなので、知識がないことも多く業者の言いなりになったりする。「どうせ分からないから」と必要以上の工事を追加したり、金額を上乗せしても「そうですか」と受諾するしかない。その積み重ねで積立金が底をつけば、結局住人に一人一人の負担額が増えてしまう。
こういうことも実際にあるということを知っておくといいでしょう。
このマンションで任務が終了した修繕委員会を解散しなかった理由は、その後の管理体制にも目を光らせる必要があると判断したからだそう。管理人の対応が悪いと交代させたり、この修繕委員会が新たに提案した工法と大規模修繕の結果で栄転した担当者だっているそうだ。修繕委員会の顔色を伺いながら承諾を得なければならない管理会社も手を抜けない相手なだけにやりずらいと思いますが、こんなマンションはきっと稀なのでしょうね。
マンション管理・修繕はお任せするのはリスクが高い
小さくてもいいから関心を持ち、一つ一つの積み重ねがマンション全体の資産形成につながり、結果的に資産価値が上がる。住む人も誇りと愛着をもつことができる。
管理会社が気に入らなければ、変えることだってできる。
管理や修繕積立金が高いと思えば、見直して変更することも可能なのです。
色んな人がいるから大変だけど・・・。
あくまでも法人組織であること。
管理会社の利益が利益がどれだけ上がっているかご存知ですか?
そしてその社員は、「マンションのために」ではなく、あくまでも「会社のために」働いていること。
以前、海老蔵さんが記者の前に話していたように、
「任せた責任もある」
その通りだと思います。
大規模修繕工事のグレーなリベート問題でも検索してみると面白いでしょう。
まずは意識することから始めてみませんか?
