2021
01.05

親からの資金援助と贈与税非課税の特例について

マイホーム, 不動産コラム

住宅の購入で親から資金援助をしてもらえるときの贈与税や申告のことについて時折相談を受けます。また、2018年には住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の併用で、最大14,500人に申告の誤りが判明し、申告内容の是正や不足分の納税の必要がでたことから、住宅資金の贈与についてご紹介しようと思います。

 親や祖父母から住宅購入資金の贈与をうけた場合

ここでは、まず直系尊属から資金の贈与があった場合のお話しです。配偶者などの夫婦間で住宅を取得するための資金の贈与はまた別の『配偶者控除』の話になるため、

  1. 直系尊属から資金援助(贈与)をうけたこと
  2. 資金の用途が、居住用不動産の購入もしくは増改築等

この場合は、贈与税が非課税(限度額あり)になります。

その他に、非課税になるかどうかは、建物の一定要件や期日等の条件があるのですが、まずは上記の2点についてみていきたいと思います。

直系尊属とは?

直系尊属(ちょっけいそんぞく)とは自分からみて上の世代の直接の先祖(父母、祖父母、曽祖父母)と、法律上の血族である養父母等も該当します。

父母、祖父母、曽祖父母、養父母
× 叔父、叔母、配偶者の直系尊属

配偶者のご両親は直系尊属にはあたらないため、配偶者のご両親から資金の援助があった場合は、また違った対策(持分等)が必要ですが、ここでは一旦話しを戻します。

その他にも、20歳以上であること、合計所得金額が2,000万円以下であること、契約の相手が配偶者や親族でないこと、国内に住所を有していること(例外あり)などの要件もありますが、大多数が当てはまると思うため省略します。

資金の用途(使い道)が肝心かなめ

ここでの「住宅取得等資金贈与の非課税特例」の適用を受けるためには、資金の使い道はあくまでも『自己の居住の用に供する住宅用の家屋』でなくてはなりません。また住宅の取得だけでなく、増改築(リフォーム等)も対象に含まれます。

「自己の居住の用に供する住宅用の家屋」とは、あくまでも自分たちが住むマイホームや一戸建てのことであり、それ以外の、例えば車などを購入した場合は贈与税が課税されます。

非課税となる金額には物件の契約締結日により限度額が決められていますが、例えば、1,000万円の贈与をうけて500万円しか住宅購入資金に使わなかった場合は、残りの500万円に対して通常の贈与税が課税されます。

上記の②の場合は、贈与を受けたうちの半分しか住宅資金にあてていないため、残りの500万円に贈与税がかかってくる、ということになります。

非課税限度額は契約の相手と契約締結日によって違う

非課税の限度額は住宅用家屋の対価に含まれる消費税の税率が10%かどうかによって違ってきます。要するに、売主や取引先が個人か法人かによります。

新築の一戸建やマンションを購入するなら、売主は法人になるため建物価格に消費税が課されます。逆に個人の居住用不動産を売却する場合は非課税扱いとなり消費税は課税されません。それにもう一つ、いつ契約をしたかによっても限度額が違ってきます。

A.売主が課税業者の場合(消費税が10%の場合)

契約締結日 非課税限度額
2020.4.1~2021.3.31 1,000万円(省エネ等住宅は1,500万円)
2021.4.1~2021.12.31 700万円(1,200万円)

B.売主が個人の場合(非課税)

契約締結日 非課税限度額
2020.4.1~2021.3.31 500万円(省エネ等住宅は1,000万円)
2021.4.1~2021.12.31 300万円(800万円)

取引相手が課税業者か個人によって変わるわけですが、増改築などのリフォームは法人との契約になるためAに当てはまると思います。住宅の購入の場合は、売主が法人か個人かによって異なります。どちらか見分けがつかない場合は、販売資料の価格の欄に、売主が個人の場合は『(非課税)』と記載されていることが多いので、そこをチェックしてみるといいでしょう。

建物要件と入居時期にも条件あり

住宅資金の贈与の非課税特例を受けるには、「直系尊属であること」と「自己の居住用であること」の条件以外にも築年数、広さ、入居時期にも一定の条件があります。

Ⅰ.築年数

原則として木造の場合は築20年以内、耐火建築物は築25年以内の建物であること。ただし、それ以上の築年数でも「耐震基準適合証明書」があればOK。

※耐火建築物・・・鉄骨造、RC造、SRC造

Ⅱ.床面積

床面積50㎡以上240㎡以下で、かつその1/2上が居住用であること

※登記簿の面積で判定されるため、マンションの場合は、販売資料や契約書の専有面積が55㎡前後の場合は、登記簿では50㎡未満の場合もあるため注意が必要です。

Ⅲ.入居時期

住宅資金の贈与をうけた日の”翌年の3月15日”までに居住しなければならない

※建物を建てる目的で土地の購入資金に贈与を受けた場合にも、この非課税の特例を適用できます。ただし、建物が完成して住み始めるのが「翌年の3月15日まで」により適用の可否が分かれるため注意が必要です。
※また、新築の家屋の場合も、”引渡日が3月末”の場合は非課税の特例が受けられなくなります。

非課税の特例を受けるには申告が必要

本特例の適用を受けるには、贈与税の期限内申告が必要です。

贈与を受けた日の属する年の翌年2月1日~3月15日までに申告が必要

タイミングとしては確定申告の時期と同じになります。先述した契約年月日は『非課税の限度額』であり、贈与を受けたとき(課税時期)とは関係がないのがポイントです。

また、期限内に申告しなかったり、後日税務署から指摘されて期限後申告をした場合は、非課税の特例は受けられず、暦年課税の基礎控除額(110万円)を超える部分が課税対象となるので注意が必要です。

申告義務者は贈与者?それとも受贈者?

ここもよく相談がある点ですが、贈与税は財産をもらって得をした人にかかりますので、申告義務者は受贈者となります。財産をあげた人は得をしていないので申告する必要はありません。

住宅ローン特別控除を併用する場合の注意点

贈与の非課税特例と所得税の住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の特例は併用が可能です。ただし、併用する場合、住宅ローン控除の家屋取得対価の額から、本特例の適用を受けた金額を控除しなければなりません。ここが申告の誤りが多く見受けられ、後日税務署から指摘を受け、修正申告や不足分の納税が必要になるケースが増えているそうです。

よって併用は可能だが、住宅ローン控除の計算に影響がでる、と覚えておくといいでしょう。

まとめ

最後にざっとまとめると、本特例の適用を受けるには、

  • 誰から贈与を受けたか(直系尊属のみ)
  • 自分の年齢、年収等の要件が合致しているか
  • 控除を受けられる不動産等であるか(築年数や平米数等)
  • 非課税限度額はいくらか(契約日により違う)
  • 入居時期は要件に沿っているか
  • 期限内申告であること
  • 住宅ローン控除と併用する場合の注意点

上記に沿っている必要があります。

贈与を受ける前の資金計画の段階で、親などからの資金援助も並行して計画できればベターかと思いますので、頭の片隅にいれておくといいでしょう。